Run to the Another World Battle Stage第4話


ホールの敵を倒した2人は、またもや光を視界に捉えた。

だが、今度の光は今までの光と違って若干……ほんの若干ではあるが黄色がかっている。

「あれ、あの光……何か変じゃ無いですか?」

「あ、本当だ。少し色が違うな」

色が違う事に何か意味があるのか? と2人とも疑問に思っていたのだが、今はその光に

沿って進むしか無いので大人しく光に向かって歩き出す。

今度の光は奥にある階段の前に出現したので、その階段を上って上に来いと言う事になるのだろうと

2人は判断して階段を上って2階へ向かう。


その2階では若干フロアの雰囲気が変わった。

例えるならば、1階は中世の城にある大きなダンスホールの様な場所の廃墟と言うイメージだったが、

2階はうって変わって駅の構内と言うイメージがピッタリ当てはまる。

それも、地上を走る列車の駅の様な解放感溢れる屋外では無く、建物の中なので地下鉄の駅の中と

言った方が良いだろうな、とハリドは漠然と思っていた。

「何、ここは……?」

ローザはそのフロアの床や壁の造りを見てキョトンとしている。

「何だか駅みたいな場所だな。こう言う場所はそっちの世界には無いのか?」

「無いですね。少なくともアサリーヴでは見た事が無いですよ」

「そうか……」

やっぱり、このローザは地球とは違う世界からやって来たんだろうとハリドは心の中で再認識しながら前を見据える。

その見つめる視線の先にはまたもや光が鎮座していた。

「じゃあ、行きましょうか」

「ああ」

何が出て来るか全く予想がつかないので、あの路地裏から未だに緊張しっ放しの2人だがそれでも進んで行くしか無かった。


そのまま2階を歩いて行くと、1つの錆び付いたシルバーのシャッターが2人の行く手を阻んだ。

「これ……開くのか?」

ハリドがシャッターに手をかけて押し上げようとしたが、シャッターはびくともしない。

「ダメだ、鍵がかかってやがる。何処か別の通路から行くしかねーかもなぁ、これ」

諦めの表情でハリドがそうローザに提案したが、次の瞬間ローザは思いがけない行動に出た。

「ぼくがやってみる」

「え? 魔法で?」

「そう。危ないから少し下がってて」

そう言いつつ、ローザは左手に薄緑の光を出す。


すると、何とそこから一振りのショートソードが現れた。

最初にハリドと歩き始めた時に彼女は剣を1つに戻していたのだが、ハリドはそこまで気がついていなかったのだ。

(なるほどな、双剣術はこうして魔法で剣を出すのか)

何処か冷静な目線でハリドがローザを見据えつつ、彼女の出方を見守る。

「……ふっ!」

軽い掛け声と共に地を蹴って、そのまま気合い1発でシャッターを双剣の軌跡が切り裂いてしまった。

「さぁ、これで先に進めるよ」

「お、おう……」

切り裂いたシャッターの隙間を潜って進むローザにハリドも続くが、かなり悶々とした心境になってしまった事は否定出来なかった。

(魔法は魔法でも、結局シャッターは剣で斬った訳だし……いや、でも魔法で出した剣だから魔法を

使ったって事なのか? ……うおおおおおおおおーーーっ、分かんなくなって来たぞーっ!?)

頭の中が混乱してしょうが無いハリドは、とりあえず「まぁ良いか」で済ませる事にしてローザの後を追うのであった。


そのままシャッターを抜けて先へと進む2人だったが、ここで新たな乱入者が訪れる。

「……ん?」

ガガ、ギギッと何かさび付いた金属が擦れ合わさる様な音が横の通路から聞こえて来たのでそちらに2人が目を向けてみると、

そこには招かれざる客が居た。

「げっ、何だありゃあ!?」

「何あれ……!?」

ハリドもローザも思わず驚きの声を上げてしまう。

その通路の先からは、4足歩行でボディカラーが黄色と白に塗り分けられている、まるで狼の様なフォルムをしている

ロボット……背中の部分には何だかブースターにも見えるダクトの様な物が鎮座している。


そのロボットの額の部分についている赤いセンサーが妖しく光ったかと思うと、後ろのそのダクトからもの凄い轟音と共に光が溢れ出る。

(や、やべぇ!!)

瞬間、嫌な予感がしたハリドはローザの手を引いてロボットの居る通路とは違う方向……自分達が今進んで行く

予定の方向へと全速力で駆け出す。

「えっ、ちょ……っと、何……!?」

ローザが驚きの声を上げた次の瞬間、今まで2人が立っていた路地の交差部分に向かって物凄い勢いで

そのロボットが突っ込んで来た。

「うおっ!?」

止まれないそのロボットはそのまま壁に突っ込んでしまったが、さしたるダメージも無い様だ。

更に壁の被害が小破程度で済んでいるので、恐らくはブーストのコントロールをしたのだろうとハリドは判断。

それなりの知能プログラムは持ち合わせているらしい。


「あれは一体何!?」

「俺に聞かれても困る! とにかく今はあいつに敵として認定されちまったみたいだから、俺達は逃げるしか無さそうだぜ!」

通路の先にはまだ光があるので、どうやらそっちの方向に向かって進んでいけば良いらしいのだが今までと違って

かなり精神的に追い詰められそうな展開である事には間違い無い。

繋いでいた手を離し、ハリドとローザは直角コーナーになっているこの通路の曲がり角を利用してあのロボットの追撃から

逃れる為に光に向かって走り始めた。


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