Run to the Virtua City with VSSE Agents Story第15話(最終話)
「すげぇな、今のアメリカのレベルって・・・・」
「ああ。あいつ等車のパワーも出てるし排気量も違うし、何よりテクニックも日本のD1に比べて遜色無いよ」
「日本だと賞金なんて優勝しても100万位だし、レーサーとは認められていないけど、こっちは確か1ラウンド優勝での
金額が段違いだし、立派な職業としてのレーシングドライバーのジャンルだからな。みんなプロ意識持ってやってるのも当然か」
何処か遠い目をしながらも、3人はまだ走り足りないのでバーチャコップ達にこんなお願いを。
「なぁ、最後にこのコースで3人で走らせてくれないか? トリプルドリフト!!」
エージェントとバーチャコップたちは、3人が出場するフォーミュラDの見学に来ていた。
結果は残念ながら、賞金を手にするには至らなかったようだ。
「この場合、どっちを応援したらいいのかわからないよな。地元だしそっちを応援したいけど、渡辺たちも頑張ってたし」
コーラを流し込みながらレイジが呟く。
「どちらも応援したらいいだろう。片方だけ駄目とか、そんなことはないんだからな」
傍らにいるスマーティの呟きに、レイジはそうだな、と同意する。
表彰式が終わり戻ってきた3人だが、その口から出てきた提案に、レイジとスマーティは顔を見合わせた。
「そりゃ、もちろん」
「ああ。運営側には俺たちから話をしてみるから」
しばらくして戻ってきたレイジが、腕で大きく○印を作っているのを見て、アランが笑顔になる。
「お、許可もらえたみたいだな!俺、トリプルドリフト体験してみたかったんだよなぁ。乗っていいか? …よっし!」
「あ、俺も俺もー!」
「俺も乗りてえ!」
我先にと弘樹たちに同乗の約束を取り付け、いそいそと乗り込むアラン、エヴァン、ルーク。
弘樹の車にはルーク、陽介の車にはアラン、渡辺の車にはエヴァンが同乗することになった。
車が発進し、スピードを上げる中、3人のテンションが昇りきっていく中での3台同時トリプルドリフト。
シートベルトをしているとはいえ、身体が強く持っていかれそうになるほどの慣性がかかるが、
3人のテンションは最高潮に達していた。
「う、わ、やっば!!わぁあ、やっぱすっげえな!」
技術の高いドライビングテクニックを間近で見られることと、その中に自分がいることに対する興奮が、
ルークを包み込んでいた。トリプルドリフトを全部で3周、それぞれ先頭を入れ替えての走行で楽しんでから
3人はもう1泊して明日、日本へと帰る事になった。
「それじゃあVSSEの連中とはここでお別れかな」
「またこんな展開になるとは思わなかったが、俺達の目的はしっかり達成された訳だし、そっちも事件を
解決出来たしWINWINだろ」
「後は何処か美味しい料理屋とかを教えて欲しいんだが・・・何処か知らないか?」
昨日は自分達はホテルで夕食を済ませた為、バーチャシティの料理屋には渡辺だけ入った事が無いのだ。
「WIN-WINなのか…?」
「まあまあウェズリー、細かいことは気にしない!美味いとこは、俺たちよりも…」
こっちに聞いたほうがいいだろ?と、アランがレイジたちにウィンクを投げて寄越す。
「そうだな、最後にみんなで飲むか!酒も食事もうまいところがちょうどあるんだ」
「まあ、今回はいいか…あまり飲みすぎるなよ」
スマーティの忠告が効いたのか効かなかったのかは不明だが、レイジのおすすめの店に移動し、
13人で食事や酒を心行くまで堪能した。
次の日。
VSSEのエージェントたちとは昨夜のうちに別れたので、レイジとスマーティは空港に向かう3人を地下鉄のホームまで見送りに来た。
「いや、今回は巻き込ませてしまって悪かったな。お疲れさん」
「今度は事件のない時に、ぜひ遊びに来てほしい」
3人と握手を交わし、ホームの階段を下りていく姿を見送り、バーチャコップたちは街の喧騒の中へと戻っていった。
完