Future World Battle第30話(最終話)


先に50階へと辿り着いたのはティアナだった。

「ほう、なかなかやるじゃねぇか?」

そんな彼女を待ち受けていたのは、彼女が追い続けている組織のリーダー。

「フェルディナンド・アウグストション……!!」

回収したハンドガンを彼に向けるが、その前に一気に間合いを詰めて来た

彼はハンドガンを手で弾いてショルダータックルでティアナを吹っ飛ばす。

「俺とやる気か? だったらかかって来やがれ!」


余裕しゃくしゃくの笑みを浮かべ、じりじりとティアナに詰め寄る。

そんなフェルディナンドに果敢にティアナは突っ込むが、リーダーを張るだけあって

相当の格闘の腕前をフェルディナンドは持っているらしく、倒されては立ち上がり、

倒されては立ち上がりの繰り返しだ。

「もう終わりか?」

蹴りかかって来た彼女の足を左手で掴んで、そのまま空いている右手で彼女の

顔面を思いっ切り殴り、怯んだ彼女の首を右手で鷲掴みにして壁に押し付ける。

「ぐぐぅ、うぶっ……」

「俺の組織に刃向かおうなんて考えるから、こうなるんだぜ!!」


だがそんなフェルディナンドの襟首が思いっ切り別の人物に引っ張られる。

「うおっ!?」

予想もしていない別方向からのパワーに思わず背中から地面に倒れ込んだ

フェルディナンドが見たのは、何時の間にかやって来ていたコートを着込んだ刑事の姿。

「うぐ、げほっは……に、ニコラス!」

「ティアナ、平気か?」

「ええ、私なら大丈夫よ。……もうここまでよフェルディナンド。諦めなさい!!」

しかしそう言われてフェルディナンドも諦める程の男でも無い。

「ふん、俺さえ生きていれば幾らでも組織を立て直す事が可能なんだ!」


そんなフェルディナンドに、どうしてもニコラスは聞きたい事が2つあった。

「ところで……俺には2つ疑問がある。1つはあの銀行で何故人質を殺した?

そしてもう1つ。何故あそこでデータの入ったSDカードを奪っておかなかった?

俺にはそれがどうしても引っかかるんだが」

その疑問をぶつけるニコラスに、苦々しい表情に変わったフェルディナンドが答えを述べる。

「あいつが俺達に金をもっと要求して来たんだ。今までスムーズに取り引きを進めていたのに、そうして

ごねる奴が俺は嫌いなんでね。それで邪魔になったから殺した。俺の指示でな!! それとSDカードに

ついては確かにあそこで奪う予定だったが、奪おうとした所で御前等警官隊が突入して来てやむなく撤退だ。

結局こうして御前等に組織を駄目にされたんだからな。その恨みは晴らさせて貰うぜ!!」


今度は刑事コンビの方からフェルディナンドにかかって行くが、やはりフェルディナンドは強い。

ニコラスはハンドガンを構えて彼を撃とうとするも、戦うティアナを上手く盾にされてなかなか撃てない。

その撃てない隙を突かれて、ティアナと同じくハンドガンを彼の場合はハイキックで弾き飛ばされる。

「くっ!!」

仕方無いので格闘戦に持ち込む事になったのだが、フェルディナンドは格闘戦で威力を発揮する

タイプの様で、なかなかこれが少ない手数で確実に仕留めて来る。ただ単に熱くなり易い奴では無い様だ。

2人は顔を見合わせて頷き合い、同時に駆け出してフェルディナンドに向かうもこれまたいなされてしまう。

(正攻法じゃ駄目だ!)


そこで、2人は別々の部分を担当する事に。

まずはニコラスが駆け出し、回し蹴りやパンチで気をそらしている所にティアナが彼の下半身を

タックルで押さえ込んでそのまま地面へ押し倒す。

押し倒されたフェルディナンドに今度はティアナがマウントポジションからのパンチを連打するが

パワーを振り絞ったフェルディナンドに突き飛ばされてしまう。

その隙を埋めるかの様にニコラスが、立ち上がりかけたフェルディナンドの首を羽交い絞めにして

再び地面に引き倒す。

「ぐうぁぁぁ!!」


それでもニコラスを何とか振りほどいたフェルディナンドだったが、今度はティアナがそんな彼に

飛びかかって膝蹴り。そしてそこから右腕を彼の首に後ろから回し、足払いをかけて自分が

下になる様にして2人揃って地面へと倒れ込む。

それを見たニコラスも加勢。うつ伏せ状態のフェルディナンドの右腕を取って2人の上に

乗っかり、そのまま肩の関節を逆方向に引き折った。

「うおああああっ!!」

流石に肩の関節を折られる痛みにフェルディナンドも悶絶し、そのままティアナのいわゆる

フロントチョークと呼ばれる絞め技で首を絞め続けられたフェルディナンドはゆっくりと息絶えて行った。



こうして1つの事件が終わり、リーダーが死亡し幹部2人も呼んだ応援によって逮捕され組織は壊滅。

タワーのバルコニーから吊り下げられていたルイーゼも無事に救出された。

そしてティアナとも別れの時がニコラスにやって来たのだが、その1ヵ月後にまたティアナはフランスから

長い時間をかけてヴェハールシティへとやって来た。何故なら……。

「ニコラス、ルイーゼ! 結婚おめでとう!!」

一緒に事件を解決したフランスの刑事も招待した結婚式を挙げたニコラスとルイーゼの夫婦としての

長い旅は今、ここから始まったばかりなのだ。



Future World Battle 


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