Despair and hope第16話


ファルレナ・ローセエットは斧隊の副長を務めている女軍人で、同じ副長の

立場にあるアイリーナとは基本的に仲は悪くない。しかし性格はアイリーナとは

正反対なのがファルレナであり、明るくオープンで気さくな性格で誰とでも

分け隔てなく接するので人気者となっているのが彼女だ。ちなみに彼女は良く

童顔に見られる事が多いので、年齢を言うと必ずと言って良い程びっくりされて

しまうのが日常茶飯事になっている。そんな彼女が使う武器は大きな

両手斧なのだが、勿論普通の女にはなかなか扱う事の出来ない代物でもある。


ファルレナがどうしてそんな武器を振り回して戦えるのかと言うと、別に魔法で

身体強化等をしている訳では無く、単純に鍛えている量がこの大斧を扱う事が

出来る位だからなのだ。実際に彼女の腹筋はしっかりと割れているが、女で

腹筋を割る位に鍛えると言うのはもともとの男女の身体の作りと言うポイントで

尋常じゃない程の時間を費やさなければ不可能だ。

その尋常じゃない程の時間をそうして身体作りに費やして来たからこそ、腹筋は

もとより上腕も足腰もまんべん無く全てが鍛え上げられて大きな両手斧を振り回す

事が出来る様になった。女でもこれだけ大きな斧を振り回す事が出来るんだぞ、と

言う事を実際に戦場でアピールしている事もあって、彼女の努力に関しては他の

武器を使う部隊からも一目置かれる程。


また、ここもアイリーナとは正反対のポイントで料理の腕も抜群であり、騎士団の

食堂のメニューの中にも彼女が考えたメニューが幾つか存在している程なのである。

その料理のテクニックをアイリーナに見込まれたのと、彼女自身もアイリーナの料理には

ほとほと嫌気が差していたので自分のテクニックを1から伝授しようとしているが、

アイリーナにはどうやら料理のセンスそのものが無い様なのでイライラする事も良くあるらしい。

現在のアイリーナに対する彼女の目標は「レシピ通りに作らせる」と言う事をまず覚えさせる事で、

きちんと材料の分量を量ったり焼き時間や茹で時間をしっかりと計らせたりしているものの、

センスの無いアイリーナが料理の腕を上げるのは何時になるだろうと凄く不安でしょうが無いと言う。

それでも仲は悪く無いのでファルレナは根気良く教えているのだ。


それから彼女は魔法を使う事もあるのだが、その勉強の為に前にシュア王国に留学していた

経験がある。そこで知り合ったのが、現在のルザロの副官で精鋭騎士団副騎士団長の

ミアフィンと、シュア王国第3騎士団の副長を務めている隻眼の槍使いで卑怯な手を嫌う

ロクウィンであった。単純にミアフィンとは留学先で一緒の留学仲間として知り合って、シュアが

留学先だったのでその時にひょんな事からロクウィンと出会い仲良くなった。

現在でも時間があれば何時かは会いたいと思っていたのだが、いかんせん3人がそれぞれ

副長ともなるとそれも時間的に厳しい物があり、たまに手紙を送って近況報告をしている位になる。


そんな彼女が何故料理が上手いのかと言う事は、ネルディアから離れた場所に

ある田舎の料理屋が彼女の実家だからであろう。子供の頃から仕込みや調理等が

人手不足なので手伝わされていた彼女は、半ば無理やりとも言えるその手伝いによって

何時の間にか知らず知らずの内に沢山の料理のレパートリーを覚える事に繋がって行った。

更にその料理が余ってしまった場合には残り物を家族が食卓に並べて食べていた為に

自然と食べる量も多くなって行った事で、今の斧隊の中で副隊長を務められるだけの

体力作りに必要な基礎体力の為のエネルギー作りに役立ったと言えるだろう。


元々彼女は騎士団に入る気等これっぽっちも無かったのだが、独り立ちの為に

17歳の時にネルディアに来た当時、女性騎士団員が多くなって来ていた事から

その料理を食べまくって身体が大きくなっていた彼女がスカウトされたのだった。

そして体験と言う事で騎士団員の前で斧を振ってみると、その身体の大きさから繰り出される

力強い斧裁きにその時の騎士団員が目をつけた事が切っ掛けで正式にその場でスカウトを受け、

特に独り立ちした後の目標が無かった彼女もまた騎士団へのスカウトを承諾したと言う過去があった。


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