第8部第15話(エピローグ)
夏が来た。長い長い修行期間を終え、レーシングドライバーとして、ST3の耐久レースに参戦する瑞穂。
マシンは首都高で使っていた、あのRX−7だ。
とは言っても、しっかりとレギュレーションに合うように作り直し、ST3へ参戦。
スターティンググリッドについた瑞穂は、RX−7の中で首都高サーキットに出向いたときのことを思い出していた。
そしてこの半年間のことも。
首都高サーキットを走り始めて、令次に出会った。
多くの人々に出会い、S15からRX−7へ。
さまざまな人間ドラマも見てきたし、首都高を走ることでたくさんのライバルと戦った。
経験を積んで、ファントム9も打ち破った。
令次が復活し、バトルもした。
首都高の伝説もしっかり打ち負かした。
瑞穂は首都高を降り、RX−7をチームに譲り渡し、自分はマツダのランティスを購入した。
クーペのタイプRだ。
首都高から降りたのをきっかけに、少しだけレースとは別に、走りから離れてみようと思っただけだ。
「スタート30秒前……」
この先、まだまだいろんな難関が待ち構えているだろう。
「シグナルレッド!」
それでも、令次のように復活できるということを、瑞穂は知った。
「シグナルブルー!」
だから…瑞穂は走り続ける。これからも、レーシングドライバーとして。
瑞穂はRX−7のアクセルを踏み込み、富士スピードウェイのストレートを加速し始めた。
「行くぞ! 全員、しっかり追い抜いてやるからな!」
首都高最速―――
誰もが憧れながら、限られた者しか到達できない場所
駆け抜けた景色は伝説となり、時を重ねて神話が生まれる
頂点に君臨する孤高のマシン
―――その走りは永遠に記憶される
第8部(最終部) 完