A Solitary Battleエピローグ


このエスヴァリーク帝国の帝都であるユディソスには大きな

コロシアム状の闘技場がある。その闘技場で行われている騎士団内の

模擬戦トーナメントの決勝戦で26歳になった帝国騎士団副団長の

セバクター・ソディー・ジレイディールが戦っていた。

5年前に彼は帝国騎士団に入団し、当然だが彼は傭兵では無くなった。

騎士団に入団して初めての任務が盗賊と協力してのあの古代兵器に

まつわる大掛かりな任務だったがそれを見事彼はやってのけ、それ以降も

着実に功績と武勲を挙げて来た。


そうして今までの傭兵としての功績も騎士団に全部調べ上げられており、

それ等を全て加味した結果として今の帝国騎士団副団長と言う地位に

あるのだ。

そんな彼は、半年に1回行われているこの闘技場を使用して行われる

イベントである騎士団の模擬戦にも毎年参加して来ている。参加し始めた最初の

時こそ負けが結構あったものの、今では必ずと言って良い程ベスト8まで残れる様に

なるまで成長して来たのであった。


そして今では相手の怪我による不戦勝等もあったものの、結果的にこの決勝戦の

舞台で戦っている。

相手はかつて騎士団の不正行為である麻薬の密売を暴く為に一緒に戦った特殊

部隊隊長のフォン・クローディルであった。

セバクターが騎士団に入団する切っ掛けになった、そして2人が出会ったミッションにおいて

実力を見て貰う為にバトルをした事はあったのだがその時はお互いに本気を出し切っておらず、

本気でバトルするのは実は今が初めてなのである。


セバクターは今も変わらずロングソード、そしてクローディルも変わらず使っている武器は大剣だった。

「ふっ!!」

ロングソードをなぎ払うセバクターの低めの攻撃をクローディルはジャンプして回避し、そこから

パワーを活かして攻めのバトルを展開しようとする。だが一方のセバクターはそんなパワー任せの

戦法で来られてはたまった物では無いので、大剣を叩き付けて来ようとするクローディルの斜め下を

ロングソードを右手だけの片手持ちにしつつ前回りで転がって斜め後ろへ回り込む。

「くっ!?」

咄嗟にクローディルは大剣での攻撃では無く、下段回し蹴りを繰り出してヒットさせようとしたがそれを

セバクターは予想しており、小さいジャンプでかわしつつ身体を前に突き出してロングソードを持って

いない左手でクローディルの喉目掛けてストレートパンチを繰り出す。


「こっ!?」

急所に入った為に変な声がクローディルから漏れたが、セバクターは気にせずにそのまま低い体勢で

クローディルの顔面に強烈な前蹴りを繰り出す。

「ぐがっ!!」

鼻血を噴き出しつつ仰向けに倒れ込んだクローディルはそのまま気絶してしまい、この瞬間

セバクターのトーナメント優勝が決定したのである。

結果的にその優勝と言う戦績も認められたセバクターは、1週間後には騎士団長への

昇進と言う優勝商品を貰っていたのであった。



人は1人で出来る事は限られている。1人で出来る事は沢山あるけれど、出来ない事だって沢山ある。

そんな時に仲間が居れば心強い。セバクターはこの地方での活動を通してそう感じた。

これが彼が世界屈指の大国の騎士団長にまで上り詰めた物語

「A Solitary Battle」である。



「A Solitary Battle」 


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