A Solitary Battle Another World Fight Stories Final stage第66話
エイヴィリンは自分達に対して途中まで協力してくれていたのだが、最終的に裏切って
欠片をこうして持って来てしまったガレディと対峙する。
「俺達をどうしてもあの穴に近づけないつもりか?」
「そうだと言ったらどうする?」
質問に質問で返して来たガレディに対し、エイヴィリンはそれならば……と構える。
「それならば、あっちはあっちでやってる訳だし俺は俺でお前をここで倒すだけだ。地球に帰る事が
出来るかも知れないヒントをせっかく集めたって言うのに、そのヒントを横取りされて
全部台無しにされちゃたまったもんじゃないからな」
エイヴィリンのその回答と構えを見て、ガレディも愛用の斧を構える。
「獣人が人間に負けるとでも思っているのか?」
「それは知らない。俺はこの世界で生きていないからな。
耳や目が良いのは分かるけど、身体能力はどうかな?」
そう言い終わったエイヴィリンの顔面に、ガレディの容赦の無い左ハイキックがクリーンヒットして
エイヴィリンはぶっ飛ばされる。
「ぐぶっ……!?」
見えなかった。まさに一瞬だった。
「だったら今みたいに身体で教えてやるよ。御前達人間なんか目じゃないんだよ、
俺達獣人の身体能力はな」
エイヴィリンが痛みを堪えつつ立ち上がった所にすかさずガレディは斧を振り下ろすが、
それを素早く地面を転がって回避するエイヴィリン。
その体勢を活かして足払いを掛けようとするが、これはガレディもジャンプして回避。
更に連続回し蹴り、連続ハイキックを繰り出してガレディが怯んだ所でドロップキックを繰り出す。
そのドロップキックはガレディにクリーンヒットしたものの、元々の体重が違うのでガレディは多少よろけるに留まった。
そこから追い打ちを掛けるべく再びドロップキックをかまそうとするが、ガレディは1度斧から手を離して
後ろに飛びつつ身体を反らせて、エイヴィリンがガレディの上を通過する形で回避。
そんなガレディ目掛けて彼が跳ね起きをした瞬間目掛けて回し蹴りを繰り出すエイヴィリンだが、
それよりも速いスピードでガレディは跳ね起きから前方にハンドスプリングでこれまた回避。
「ふん!」
自分に更に追撃をして来るエイヴィリンの首をガッチリ片手で掴み、ガレディはエイヴィリンの
腹目掛けてボディブローを突っ込む。
「ぐえっ!?」
後ろにたたらを踏んだエイヴィリン目掛け、さっきのお返しとばかりに空中で3回足を繰り出す
ドロップキックをお見舞いしてまたもやぶっ飛ばす。
「げはっ、がはっ!?」
それでも何とか体勢を立て直して立ち上がり、ガレディが斧を持って再び向かって来た所で
足元の土を彼に投げつける。
「ぐっ……?」
それは回避されたものの隙を作る事には成功したので、回し蹴りでガレディの頭を狙う。
何とか側頭部にヒットしたものの、ガレディは痛みに耐えつつそのエイヴィリンの左足を
空いている左手でキャッチ。
「ふんぬぅ!」
気合1発、ガレディはそのキャッチした足を片手で思いっ切りぶん投げる。
「うおわっ!?」
ぶん投げられた方のエイヴィリンはそのままゴロゴロと地面を転がり、後ろにあった穴にホールインする。
「ぐぅ……うっ!」
手袋のおかげでガッチリと手を穴の縁に掛ける事に成功し、落ちない様に踏ん張るもののガレディが
そこにニタニタと嫌らしい笑みを浮かべながら斧を片手に近づいて来る。
「ははははっ、こりゃ傑作だぜ! おらぁ!!」
ガレディはエイヴィリンの手を足で踏むものの、何としても落ちてたまるかと言う執念で必死に耐えるエイヴィリン。
だが、そんなエイヴィリンの目にあるものが映った。
「……!」
悟られない様になるべく顔をガレディの方に向けながら、手の踏みつけにまた耐える。
そんなエイヴィリンの耐久テストにも飽きたのか、ガレディは彼が這い上がって来る前に
斧を振り下ろして殺してしまおうと考える。
「死ねぇおぐぅ!?」
斧を振り被ったガレディの首筋に、突然黒い物が巻き付いて彼が後ろに引っ張られる。
それを見てエイヴィリンも一気に腕の筋肉を使って穴から這い上がる。
黒い物の正体はネクタイ。そしてネクタイの持ち主はレナードだった。
先にラスラットを仕留めたレナードはエイヴィリンがピンチなのを見つけて、撲殺したラスラットの
後始末をウォルシャンに任せてガレディの後ろから忍び寄って来たのだ。
首を絞められながら後ろに引きずられるガレディは、斧をその手から取り落としながらも何とかレナードを振り払う。
だがそこに今度はエイヴィリンが飛び掛かり、首に絡まったままのネクタイを掴んで近くの
細めの木にガレディの身体を首から引っ張りつける。
更にネクタイの両端をグイっと引っ張り、木の幹を2人の背中で挟んだ状態でギリギリと
ガレディの首をネクタイで絞め上げる。
「ぐぉ……がはっ!!」
それでも必死に抵抗するガレディだが、踏ん張る為に股間を開いていたのが運の尽き。
その中心部である股間にレナードが全力でキックを入れると、急所を蹴られたショックでガレディから
抵抗するパワーが抜けたので更にエイヴィリンはガレディの首を絞め上げる。
「うぶっ……」
声なのか音なのか分からないものを漏らし、舌を突き出して目を見開いたままガレディは絶命した。
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