A Solitary Battle Another World Fight Stories 5th stage第25話


材料となる薬草は、この町を出て5分位の場所で良く採集出来るメジャーな物であるらしい。

(そんなに近い場所なら自分で取りに行けば良いと思うんだがなー)

心の中でそう思うグレリスだが、わざわざギルドに依頼すると言う事は何か事情があるんだろうと思って

それ以上考えずに、ただミッションを終えて報酬を貰う事に徹しようと考えた。

町の外に出るのは余り気が進まないものの、町から出て5分の場所であるしギルドにキャンセルしに行くのも

面倒臭いのでさっさと集める物を集めて町に戻ろうとグレリスは決める。

「追っ手があるかも知れねーから、少し急いで良いか?」

「ええ、そこは貴方に任せるわ」

別に構わないと言った口調で、アニータから了承を貰ったグレリスの足が早歩きになった。

簡単ではあるが採集場所の地図が依頼書に記載されているし、採集する薬草のイラストも描かれているので

採集には問題が無さそうである。

問題があるとすればやはり追っ手があるかどうかと言う事だろうか。


しかし、今はそれを考えるのは一旦止めにしようとグレリスは思う。

(今はミッションに集中しよう。明らかに俺は考え過ぎだ……)

追っ手が来たら、その時に然るべき対応をすれば良いだけの事である。

あいにく、相手に合わせてその都度作戦を考えられる程グレリスは器用な性格では無いのだ。

自分が1番良いと思う方法で立ち向かい、それよりも相手が強い場合には負けてしまうし弱ければ勝って終わるだけの

話だと考えているので、追っ手が来たらその時は体操で培った身軽な動きで対応出来るだけの事をするつもりである。

そう考えながら、グレリスはアニータと一緒に自分が採集する目的の薬草を探していた。

「ええと……あ、これか?」

「そうね、それを20束分って書いてあるから結構集めなきゃ」


通りで、収穫量の割には報酬が安い訳だとグレリスは実感した。

それでも、今の自分が金を稼ぐ手段はこれしか無いので文句の1つも言わずに黙々と採集活動に励むグレリスと、

それを横目で見ながら自分も一緒に薬草採集に手を動かすアニータ。

正直に言って、町から近い場所で採集出来る材料で良かったとグレリスは思わざるを得なかった。

中途半端に遠い場所だったらそれこそ町まで戻るのに時間がかかるし、町の中には警備の人間も居るとアニータから

この場所に来るまでの間に説明を受けているので、町から余り離れてしまうとそれだけでも襲われる可能性が高くなる。

だからこそ、なるべく近場で活動出来たのは救いだったしその救いが新たに運を呼び寄せたのか薬草がかなり速いペースで集まって行く。

そんなペースで、この場所までやって来て15分もすれば目標の数に達したのである。

「これ位か?」

「そうね、数は足りてるから大丈夫よ。それじゃあ町に戻りましょう」


こうして、2つ目のミッションも特に何事も無く終わった。

後の依頼は1つ残っているが、先にこの2つのミッションを終了した事を伝えて報酬を貰う為にギルドに向かった。

「……はい、これがあなたの取り分ね」

アニータから説明今回の報酬で自分の取り分をしっかり受け取って、グレリスはいよいよ最後のミッションに向かう……筈だったが、

ここで新しいミッションを請け負っておけば良いのでは無いのかと考えた。

町ごとのギルドでは、やはりその町の中とその周辺の求人を扱う事が多いのだが基本的には世界中の求人を扱っているのだとアニータは言う。

各地のギルドで情報をシェアしており、営業時間内であれば何時でも何処でも世界中の依頼書を見る事が出来るのだ。

しかし、そのミッションを受ける事が出来るのかと言うのはまた別の話。

これもアニータ曰く、ギルドでは冒険者の実績によってランクが決まっているらしい。

組織内におけるランク付けの概念と言うものは、どうやら地球であろうとも異世界であろうとも考える事は同じみたいだなとグレリスは思う。


ギルドに「登録する事が出来ない」グレリスにとっては余り関係の無い話ではあるのだが、それでも聞いておくだけ聞いておこうと思って

アニータのセリフに耳を傾ける。

「ギルドのランク付けと言うのは、今まで自分がどれだけの依頼の件数や内容を成功させたかによるわね。

勿論、件数が多ければ多いに越した事は無いし内容が難しければ難しい程それだけランクが上がるのは早くなったりするわ」

「そうなのか。ランクって言うのは何階級あるんだ?」

「最初は初心者の見習いランク。これで依頼の内容に関わらず10件成功させる事で見習いから本職のギルド付きの冒険者に

ステップアップ出来るわ。そこからはEランクが1番下で、最終的にはAランクまで上がる。そしてそのAランクから選ばれた一握りの人間だけが、

Aランクからも雲の上の存在として尊敬されるSランク冒険者ね」

1番下のランクから始まり、上のランクになればなる程より多くのミッションにチャレンジ出来る。

これはグレリスが今までプレイして来たゲームの中でも聞いた事のある方式だった。


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