A Solitary Battle Another World Fight Stories 1st stage第26話


(まだ来るか!!)

4人全員を倒したは良かったものの、窓の外を見てみればこの足元に転がっている4人の男女の

仲間達がこの家に向かって来ているのが分かった。

「ちっ!」

舌打ちしたりオスはさっきのテーブルから適当に色々な書類……勿論あの暗殺計画を書いたメモは

最優先にコートのポケットやズボンのポケットにぐしゃぐしゃにしながらも詰め込んで行き、詰められるだけ

詰めてからドアの外へと飛び出した。

「どけ、邪魔だ!!」

すでにこのアジトに到達して来ていた男に出会いがしらのドラゴンスクリューをお見舞いして下半身をぶっ壊し、

続けて向かって来た女にはドラゴンスクリューをし終わった体勢から両手を地面について足を振り上げて蹴り飛ばす。

とにかく今はここから逃げなければいけないとリオスは判断し、1人1人に構っていては絶対に囲まれて殺られてしまうと

言う事でなるべく破壊力の高い技を選んで向かって来る相手を潰して行く。


だが、そんなリオスの元にこの後意外な救世主が現れる。

「おい、こっちだ!!」

「急げ! 全員逃がすな!!」

遠くの方から、このアジトの連中の姿とは明らかに違う姿をした……リオスにはこの世界に来てからまだ数日しか

経っていないのに多くの関わりを持ってしまった気がする、銀色に輝く甲冑をしっかりと装備した騎士団員達が

バタバタと一斉にリオス達の元へ押し寄せた。

当然リオスも再び騎士団の詰め所に連れて行かれる事になってしまったのだが、連行されそうになっているそんな彼の元に

やって来たのが以前にも出会った事のあるあの男だった。

「おおい、大丈夫だったか?」

「君は……」


黒い髪の毛に赤いシャツ、そして黒い手袋。腰には2本のハンマーをぶら下げているその男は、間違い無くこの町の便利屋だと

自称していたホルガーその人だった。

「何故ここに?」

「何だか騒ぎがあったみたいで、騎士団に連絡を入れたんだ。そうして騎士団の後を追いかけてこうして来てみたら……って訳さ。

一体何があったんだよ? 取り敢えず話は騎士団の詰め所で聞くからさ」

そのまま騎士団の詰め所に連れていかれたリオスは、ポケットからあのアジトで見つけたメモを全て騎士団員とホルガーに渡し、

更に今まであった事を全て洗いざらいぶちまけた。

「何てこった……暗殺計画って……」

「只のイタズラで済めば良いと思っていたが、俺がこうして襲われているんだ。しかもその前の鉱山跡での出来事も今話した通り、

いきなり後ろから殴られてそのまま拷問までされるとなれば……」

「あんたをそこまでする必要が何処かにあるって事か……」


そして、そこでふと思い出した疑問があるホルガーはその疑問をリオスにぶつける。

「ところで、あんたその鉱山の中で何か粉みたいな物を嗅がされたって言って無かったか?」

「ああ、そうなんだが……妙なものでな」

「妙?」

首を傾げて聞き返すホルガーにリオスはこう答える。

「その粉らしき物を嗅がされる時に、さっきのアジトに居た奴等の1人に甘い匂いが如何のこうのって言われた気がするんだ。

その時は俺も必死だったからあやふやな部分もあるのだがな。だけど俺がその粉みたいな物を嗅いだら甘い匂いも何もしなかった。

つまり全くの無臭だった。こう言った粉がこの国に存在しているのか?」


その問い掛けに、ホルガーは苦笑いをしながらも自分の思っている事をリオスに話した。

「まぁ、そりゃあ……小麦粉とかなら匂いもしないと思うがな。でもそんな小麦粉をあんたに嗅がせる程そいつ等は

暇人だったのかよ? と言うか、その小麦粉みたいな無臭の粉を嗅がせる為にわざわざ水責めまでするなんてやっぱり暇人か

よっぽどのバカか何かとしか思えないけどな。で、その粉はもともとは石膏像の頭部から出て来たってあんたがさっき言ってたから、

俺の考えでは何処かの美術品に偽装していたんじゃねーのかな。いやまぁ、俺の想像でしか無いし実際にその現場を見た訳でも

無いから如何とも言えねーんだけどさぁ」

その粉を吸った事で何か悪影響は今の所あるのかとホルガーにリオスは問われたが、別に今までと何も変わらず快調だった。

「でも、そのアジトに帰って来た茶髪の男がビックリしてたんだろ?」

「ああ。話が纏まっていないのか頭が整理出来ていないのかで、訳が分からずじまいだったが。正直何を言いたいのか

さっぱりだったが、あたふたしている事だけは良く分かった」


腕を組んでその事を思い出すリオスだったが、一体あの粉は何なのだろうかと言う事は今でも気にかかる。

「悪影響が無いのなら今は大丈夫かも知れないが、この先俺自身の身体にどんな影響が出るか分からない。

それからそのメモに書いてある暗殺計画の事も気になる。城って書いてあるからまさかとは思うがな……」

「うん……それは俺も気になる。でも騎士団に任せた方が良いと思うけどなぁ」

そこはホルガーの言う通りかも知れない。

何故なら自分は部外者の為、騎士団の方が城の事等にも詳しい筈だしそっちに後は任せた方がスムーズに

解決するんじゃないか……とリオスが相変わらず神妙な顔つきで腕を組みながら思ったからだった。


そこでふと、1つの目的を思い出したリオスはこんな提案を。

「城があるのは帝都なのか?」

「ああ、そうだけど」

「だったら俺は帝都に行きたい。この町や周辺地域では色々と騒ぎを起こしてしまったから居づらいし、帝都に行ってみれば

色々な情報が手に入ったり働き口も見つかるかも知れない」

こうして、情報提供と事件解決に協力したと言う事で帝都までの路銀を貰い、リオスは馬車まで用意して貰って

騎士団員の護衛までつけて貰ってと至れり尽くせりの状態で帝都に向かう事が決まった。


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