A Solitary Battle Another World Fight Stories 4th stage第26話


しかし、王都まではかなり距離があるとの事。

全速力で飛ばして行けばそれこそ3時間程度で辿り着けるのだが、背中に乗っている人間の方が

持たないと言う事なのでゆっくりとしたペースで翌日の朝に辿り着く様したとレナードはアンリから言われた。

その途中で、レナードはアンリが前に言っていたあの転送陣とか言うテクノロジーを使えば良いんじゃないかと

持ちかけてみたのだが……。

「……んん、転送陣は私は作れない。作るにしてもあのアルジェルの町に居る魔術師の腕では不可能だ。

それから場所だって必要だし、作るのであれば色々と手続きを取ったり書類を作成しなければならないから、

こうして直接移動するよりもはるかに時間が掛かるぜ」

「そうなんですか……」

やっぱりそうそう都合良くは行かないもんなんだなーとレナードが溜め息を吐く。


そんなレナードとパイロットのアンリを乗せたワイバーンはそのまま飛び続け、アルジェルの町よりも若干小さめの町に降り立った。

「そろそろ陽も落ちる。今日はここで夜を明かして、明日の朝に王都まで一直線だ」

「分かりました。それで、今日私達が泊まる場所は?」

「ああ、ここにも詰め所があるからそこで寝泊りして貰うぞ。食事も勿論そこでだ」

アンリのその答えに、レナードはやっぱりかと思いつつ町の中を歩いて行く。

それにしても、この町は日が沈みそうだと言うのにまずまずの活気を保っている。

「この町って、何時もこんなにこの時間帯に人が居るんですか?」

「ああ、王都に近付くにつれて夜遅くなっても人が行き交っていたりするんだ。そもそもこのリーフォセリア王国自体、

このエンヴィルーク・アンフェレイアの世界の中でも1、2を争う程の国土を持っている国だからな」


自分の国だからだろうか、何処か嬉しげな表情と声色でそう語るアンリにレナードはふと思い出した事がありこう尋ねた。

「……そう言えばなんですけど、このリーフォセリア王国の場所を以前教えて貰った事はあるんですが王国そのものの歴史とか

どんな国なのかと言う部分、それから他国との関係等についてまだ教えて頂いてなかった様な気がしているのですが」

「あれ、そうだったか?」

「はい。1、2を争う程の国土を持っている王国と言うのであれば、他国に与える影響もそれなりのものでしょうからね。

隣国との関係等も気になる所です」

「分かった。それじゃあ詰め所に着いたら詳しく説明するとしようか」

もしかしたらその王国の説明の中で、何か地球に関するヒントが得られる可能性だって無きにしも非ずと言う事になるかも知れない。

少しの期待を胸にするレナードは、アンリに案内されてこの町の詰め所へと向かった。


「……さて、それじゃあ何から話したら良いかな?」

詰め所の食堂で夕食をご馳走になったレナードに、ご馳走した側の人間であるアンリは2つ並んだベッドの1つの端に腰掛けて、

もう1つのベッドの端に同じ様に腰掛けているレナードに対してそう切り出した。

見張りとしても一緒にこうしてやって来たアンリは、レナードが逃げ出さない様にわざわざ2人部屋を用意して貰ったのである。

当然ベッドも2つ用意されており、隣同士で男2人。

軍の新兵の頃はこうした相部屋で生活していたなーと心の片済で思いながら、レナードは早速最初の質問を切り出した。

「では、まずはこの国の特徴を教えて下さい」

「特徴ね……」

うーんと30秒程考え込み、頭の中で説明の整理がついたのかアンリは口を開く。

「ええと、大きな山が国の中央にあるのが特徴だな。他の国でも同じ様に大きな山が大陸の中央にあったりするから

特段珍しい事じゃないんだけど、領土の広さとしては世界最大級と言われている」


アンリはそう言いながら、アルジェルの町から持って来た地図をバサバサと広げてレナードに見せる。

あの取調室で説明をされた時に見せられた地図と同じ物で、羽根ペンで印がつけられたのがレナードの記憶には新しい。

事実、今の状況でその羽ペンのインクがついているこの地図を再度用いているのが何よりの証拠なのだから。

そんな確固たる証拠である地図を使って、この国の説明の続きがアンリからなされる。

「我がリーフォセリアは主に軍事力でその国力を拡大している。年々我が騎士団への入団希望者が増えているのが何よりの

証拠でもあるし、我が騎士団に入る為には身分も家柄も地位も関係無く、実力のみで審査が行われるんだ」

「と言う事は、アンリさんもその厳しい実力試験を潜り抜けた1人ですね」

確認する様なレナードの声色に、アンリは自信たっぷりの顔でうなずいた。

「勿論だ。そして今のこの俺の師団長と言う地位も全て実力で得たものだからな。俺は元々貴族の出身なんだが、

そんなものはこの騎士団の中では何の役にも立ちゃあしねえよ。貴族が賄賂を贈った所で、騎士団の選考が有利になる事は

100パーセントあり得ないからな。他の国ではどうかは分からないけど、少なくともこのリーフォセリアの騎士団では実力で成り上がるのさ」


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